アル ジャジーラが騒乱の日々を無事に切り抜けたいきさつ

2011 年 3 月 2 日 - 17:34 -- ドリース バイテルト

以下は Forbes.com にゲスト ブログ記事として発表されたものだ。中東で数々の騒乱が起こった結果、アル ジャジーラAl Jazeeraでは(データ)トラフィックが 2,000% 増大した(アル ジャジーラはカタールのドーハに本拠を置くメディア ネットワーク)。彼らは運営していた Drupal サイトのいくつかを従来型のホスティング業者から Acquia Hosting(現在の名前は Acquia Managed Cloud)に無事、移転した。以下はその移転のあとに書いた文章だ。世界最大級のニュース組織が世界最大級の政治的な出来事を乗り越えるのを助けたのはクラウドだった。このブログ記事は、その様子を示す本当の証拠になる。心を奪われるような Drupal ストーリーだ。

過去 10 年の間に、Web は人々が情報を作る方法、情報を消費する方法をすっかり変貌(へんぼう)させた。情報が自由に流れるということが個人や企業のコミュニケーション方法にどれだけ強い影響を与えているか、そして、統治のルールが国家全体にわたってどれほど変わりつつあるか。そうしたことを僕たちはみんな、直接(各種メディアを通じて)目の当たりにしてきた。今ではみんな、出来事が起きたとき、起きた場所からそれを伝え、みんながその出来事に加わっている。

これについては中東でつい最近起きた数々の出来事が最高の実例だ。アル ジャジーラは、中東だけに的を絞った報道組織としては世界最大のものだ。(その中東各地で起こった民主化運動によって)放送メディア、ソーシャル メディアの両方で信じられないほどの嵐が急に巻き起こったとき、アル ジャジーラはその真っただ中にいた。その厳しい試練が続く間ずっと、アル ジャジーラはクラウドのパワーを効果的に利用した。放送を中断することなしに自らの到達範囲とパフォーマンスの両面において規模を拡大するためだ(実際には「放送」(on the air)ではなく Web 経由の通信ではないかと思われる)。この数か月に起こった数々の事件がひとつの兆候を示しているのだとしたら、ここにいくつもの教訓を見て取れる。コンテンツ駆動型の(サイトを運営する)他の会社が自らのオンライン事業について考える(応用する)ための教訓だ。

アル ジャジーラは英語での事業としてニュースや時事問題を 1 日 24 時間、週 7 日、放送している。総勢 1,000 名を超えるスタッフの出身国は 50 を超える。アル ジャジーラはまさしく、中東というステージの最前列の席を世界に提供してくれるのだ。(英語)放送は、カタール国の首都ドーハ、クアラ ルンプール、ロンドン、ワシントンの各都市から行われている。

アル ジャジーラのライブ ブログ サイトは、フリーでオープン ソースのソーシャル パブリッシング プラットフォーム Drupal によって動いている。コンテンツ駆動型の(Web サイトを運営する)組織は、Drupal を利用することで、コンテンツを公開したりコミュニティーをつくりあげたりする作業が素早く簡単に行える。Drupal は世界的に有名な組織の多くに使用されている。そのなかにはホワイト ハウス、世界経済フォーラムthe World Economic ForumIntel、エコノミスト誌The Economist、ターナー放送Turner Broadcastingなどがある。

アル ジャジーラの英語ライブ ブログ サイトは、エジプトにおいてニュース速報の発信源として極めて重要だった。ブロガーたちは危機的な事態が生じている「震源地」から最新情報を投稿した。また、エジプト国内外との連絡ではソーシャル メディアが唯一のコミュニケーション手段であることがよくあった。この危機的な事態の間、アル ジャジーラの Web サイトへのトラフィックは 1,000% 増大し、ライブ ブログへのトラフィックは 2,000% 急増した(それぞれ 1,000%、2,000% にまで増えた可能性あり)。こうした苦境は普通なら報道機関にとってはうれしい話だが、(システムの)パフォーマンスは予測不能の状態に陥った。また、サイト訪問者たちにとっても、ページの読み込みに途方もない時間がかかることになった。

(システムの)インフラという点から見れば、アル ジャジーラはそれまでずっと、自社のブログに従来型プロバイダーのホスティングを利用していた。しかし、需要が殺到したため、拡張性に関連したさまざまな問題が引き起こされ、それが日ごとに増していった。これはアル ジャジーラに限らず、同じようなコンテンツ事業者なら誰にとっても受け入れがたいことだ。平凡なニュースの日であれば技術的にはよくある「ちょっとした不具合」と見なされるものが、エジプトが「噴火」するや否や「許し難いこと」になってしまったのだ。

アル ジャジーラはミッションクリティカルな問題に直面し、その解決にはリアルタイム ソリューションが必要だった。どこに行けば、パフォーマンスの高いホスティングとサポートがすぐに見つかるだろう?それも相応なコストの範囲内でだ。安全性や機密性は保たれるだろうか?信頼性はどうだろう?その答えは「クラウド」だった。つまり、データ アクセス、ストレージ、ホスティングといった、インターネットを通じて遠隔利用できる、さまざまなサービスの集まりだ。クラウド サービスについて、ビジネス リーダーたちはたくさん論議を重ねているものの、多くの場合はその良さがすっかりわかっているわけではない。クラウド サービスを利用すると、トラフィックの条件が変化したり、時には過酷であったりしても、仕様の異なる個々のサイトがそれぞれ良好なパフォーマンスを得ることができる。Drupal 対応のクラウドという選択肢に移行することで、アル ジャジーラは(システムの規模を)素早く拡張できた。また、コンテンツをより速く動的に供給できるようになったことで、サイトの信頼性もより高いレベルに達した。これらはどれも、以前の物理的ハードウェア環境を押しつぶさんばかりだった要件だ。

アル ジャジーラの技術チームは Drupal のパワーを利用し、クラウドに移行した。表面上は悲惨に見える状況から純粋にポジティブな業務決定を速やかに導き出し、前進していけることを実証して見せたのだ。(現在)数週間がたち、地域全体にわたる新たな非常事態のため、アル ジャジーラの Web インフラに要求されるパフォーマンスは増大しこそすれ減少はしていない。(以前と)違う点は、この組織が今ではこうした予期せぬ要求によりよく対処できること、そして、起こった出来事を報道するという本業に集中できることだ。

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