構造化されたコンテンツ用の WYSIWYG およびインプレース編集

2013 年 5 月 31 日 - 16:45 -- ドリース バイテルト

カレン マクグレーンKaren McGraneは DrupalCon Portland において Drupal での「未来にやさしい」コンテンツについてすばらしい基調講演を行った。そのビデオは一見の価値がある。将来に向けた彼女の展望には僕も同感だ。さまざまな機器、画面サイズ、入力デバイスが広がりを見せていくにつれ、いくつものチャンネルで何度も利用できるような、構造化されたコンテンツに対する需要が増してきている。

Drupal は早いころからコンテンツの構造化および再利用をほとんどの競合相手よりもうまく行ってきた。Drupal のノード システムは 2001 年に Drupal 3 で導入されたが、それはほとんどの競合相手が使っていた「ページ分岐(page tree)」モデルと比べると、時代の先を行っていた。コンテンツの構造化および再利用に関して、Drupal は(新バージョン)リリースの度に一層よくなっていき、CCK と Views がコアに入るなどといった事柄へと進んでいった。今日もなお、構造化コンテンツのモデル化とコンテンツの再利用に関して、Drupal はリーダー(業界のけん引役)の一人だ。それは僕たちがこれだけの成長を体験してきた主な理由の一つでもある。カレンがそれを認識しているのがわかったのはすばらしいことだった。

Drupal における最大のギャップ(短所)の一つはオーサリング エクスペリエンスだった。僕たちが Drupal 8 コアに加えようとしているオーサリング エクスペリエンス改良のうち、最も目立つ二点は WYSIWYG 編集インプレース編集だ。僕がカレンに同意できないのは、彼女がインプレース編集と WYSIWYG 編集は悪いものだと思っていることだ。確かに WYSIWYG とインプレースの両編集機能は構造化されたコンテンツと組み合わせると面倒なことになりかねない。それでも、僕たちはそれらをいい形で実装したと僕は信じている。それはマイクロソフト ワードのバブルみたいなアプローチとは比べられないものだ。僕たちがこの機能群を実装したやり方をカレンがもっとよく理解してくれたらと思う。また、よりよいソリューションとはどんなものか、彼女が具体的に提案してくれたら役に立っただろうにと思う。もっといいツールとはどんなものなのかが見えてこないかぎり、WYSIWYG とインプレース編集に対する Drupal 8 のアプローチは大きな前進だと僕は信じている。それはさらに大きなバージョンへ向けての新たな中間ステップへと通じている。

僕たちは WYSIWYG の長所と短所について、もう 10 年以上も議論してきているが、よりよいアプローチはいまだに見つかっていない。僕たちが行えたことのなかでいちばんよかったのは、WYSIWYG とインプレース編集をページ全体ではなく一つ一つの(文章の)まとまりに対して適用するということだ。それによって、クリーンなマークアップを生成し、執筆者たちをよりうまく誘導し、自分の入力(したコンテンツ)は最終的に数多くの形式で出力されるかもしれないのだということを彼らに自覚させることができる。

Drupal 8 の WYSIWYG およびインプレースの両編集機能を実装している間、それらと構造化されたコンテンツとの対応性を確保するべく、多くの配慮が施された:

  • WYSIWYG エディターはお粗末なマークアップを生成するのが常だった。Drupal 8 の WYSIWYG エディターは CKEditor の新しい「Advanced Content Filter(先進/高度コンテンツ フィルター)」機能のおかげでクリーンなマークアップを保証してくれる。
  • Drupal は WYSIWYG エディターをページ全体にではなく個々のフォーム フィールドに適用する。(だから)コンテンツをできるだけいくつものフィールドに分けることをお勧めする。同様に、インプレース編集はページ レベルではなく、エンティティー レベルで起動(トリガー)される。すなわち、ユーザーは特定のエンティティーを編集する意思を(操作によって)表明する。すると、そのエンティティー内にある特定のフィールドを編集できるということだ。インプレース編集は簡易編集を行うためだけに設計されている。ちょっと編集したいとき、ともすると圧倒されそうになりがちなバックエンドのフォームにいちいち戻らなくてもいいので執筆者にとってはありがたいものだ。

もっと詳しい説明はウィムの記事「Drupal 8: best authoring experience for structured content?(Drupal 8:構造化されたコンテンツ用の最高のオーサリング エクスペリエンス?)」を参照されたい。

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