Acquia の製品戦略と展望

2011 年 1 月 24 日 - 13:17 -- ドリース バイテルト

ブログ記事「Acquia 2010 年 回顧Acquia 2010 retrospective」のなかで、僕は Acquia の製品戦略についてもう少し詳しく書くと約束した。以下のブログ記事では、僕たちが過去3年間に目指してきた展望を一段高い視点から紹介し、Acquia が支援することであなたの Web 戦略がどれだけシンプルになるか説明しよう(以下、明らかに業務用の文章を転用したものなので、訳は「ですます調」)

Web - 現在は乱雑な状態


Acquia の製品戦略と展望

10 年前、平均的な組織が所有している Web サイトは1つでした。それ以降、Web を通じた業務はより複雑になり、さまざまな要求が生まれてきました。みなさん(の組織)が他のほとんどの組織と同じだとしたら、みなさんはサイトをたくさん持っていらっしゃるでしょう。また、その数は急速に増え続けていることでしょう。

ほとんどの組織にとっては、従来の経験からいって、1つのツールで(すべての)仕事が片付くことはありませんでした。そこでみんな、自分のツールボックスにはいくつものツールを入れておくことになりました。望む望まないにかかわらずです。これはかなり混乱した状況になりかねません。そして、それは実際、残念ながら多数の企業でよくある話です。

それぞれのサイトには独自の必要条件がある


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こうしたサイトのほとんどは、規模、機能性、複雑さ、寿命、といった点でことごとく異なっています。開発が絶え間なく続けられているサイトがある一方で、数週間、数か月間しか存在しないサイトもあります。会社の IT 部門に所属し、社内でホスティングされているサイトもあれば、マーケティング部門に属し、外部ホスティングを利用しているサイトもあるでしょう。その結果、投資の水準も製品化(公開するまで)の時間要件も通常、大きく違ってきます。

Drupal に規格を統一してコストの無駄をなくす


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CIO(最高情報責任者、情報担当役員)たちは、コスト削減のプレッシャー、リソース簡素化(物的および人的資源の合理化)の必要性に直面しています。彼らが今、取り組んでいる現実とは、ひとつひとつが異なる 20 のスタック設定で 20 の異なる CMS を動かすようなことです。

これはその組織にとって不経済かつ不必要な負担です。単独のプラットフォームに規格をそろえればコストを節約できることでしょう。それは彼らにもずっとわかっていたことですが、彼らは、組織内のニーズをすべてカバーできると思えるほど、単独のプラットフォームに対して信頼を感じたことはありませんでした。

(しかし)今日、Drupal は組織内のニーズをすべてカバーするのに必要な機能群を備えています。これは絵に描いた理想の姿ではなく、それを超えた「現実」です。Drupal に規格を統一(標準化)する組織は日ごとに増えています。

Drupal を規格基準にすることで、組織はトレーニングとメンテナンスにかかるコストを減らすことができます。また、セキュリティー対策をすっきりと統一でき、組織内のリソースを最適化することも可能です。それらすべてのためにクオリティーや必要条件が犠牲になることは一切ありません。また、Drupal に標準化するといっても、もちろん、すべてのシステムを Drupal にする必要があるわけではありません。20 種類の異なるシステムが 10 種類なり 5 種類なりになるだけでも、大幅にコストを節約できるということです。言うまでもないことですが、Drupal に統一することに意味があるものとないものがあります。その点は賢明に見極めなくてはなりません。コントリビューター(ユーザー コミュニティーに貢献する人々)がそろった、わたしたちの巨大なコミュニティーと共に、Drupal は向上し続けています。そして、組織が Drupal への標準化を実行できる可能性は、時がたつに従って増大し続けています。


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Drupal の採用を後押しする、いくつものディストリビューション


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Drupal ディストリビューションは、組織にとって Drupal を採用する重要な助けとなります。これは、すぐに使えるよう、Drupal をベースとして(モジュールやテーマなどを)組んだソリューションです。インストールすればそのまま先へ進んでいけます。

Drupal Commons はソーシャル ビジネス ソフト用の Drupal ディストリビューションです。メンバーが互いに協力し合うようなコミュニティーを組織が作り上げていくには、これがワンセットのソリューションになります。同じように、Open Publish はニュースの報道(パブリッシング)に最適化された Drupal ディストリビューションです。Drupal が未来に向けて成長していくには、ディストリビューションが大きく広がっていくことが決定的に重要だ、と Acquia は考えています。そこでわたしたちは、Drupal コミュニティー内のパートナーたちが制作した、この種のディストリビューションにとって、ソフトウェア パブリッシャーの役割も果たしています。また、ディストリビューションにかかわる、マーケティング、プロモーション、サポート、進行中の開発、それぞれに対する支援も行っています。それは、こうした驚くような製品(ソフトウェア セット)を生み出した数々の企業の可能性を広げていくためです。

サポートとクラウド サービスに Acquia Network を加えましょう


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組織が Drupal を採用して標準規格にするのを支援するため、わたしたちは Acquia Network を作りました。Drupal Web サイトを構築、管理、拡張するのを支援すべく、Drupal のサポートとノウハウ、そして Web 開発とメンテナンスのツール群、すべてをワンセットとして提供するためです。

Acquia Network は、Drupal の専門家チームへとつながる、あなたの接続ラインです。1 日 24 時間、週 7 日利用できるこのラインは、Acquia のエンジニアリング チーム、プロフェッショナル サービス チームが支えています。Acquia Network の登録ユーザー(subscriber)は、ヘルプ チケットを提出(送信)したり、知識ベース(ナレッジ ベース)を検索したり、登録ユーザー フォーラムに貢献したりすることができます。

Acquia Network では、クラウドをベースにした多数のサービスも利用できます。このサービスには、ハートビート モニタリング(システムの診断)、ソフトウェア アップデート マネージメントなどが含まれます。また、近日にリリースを予定しているのが New Relic 統合サービスです。これを利用すると、サイトのパフォーマンスを視認できるようになるので、サイトの管理に役立ちます。他のサービス、たとえば Acquia SearchMollom などはサイトの機能的な性能を拡張してくれます。

わたしたちは Acquia Network の構造を大きくリニューアルしているところです。Acquia Network を通じて今日あなたが使用しているサービスの多くもリニューアルの対象です。そこには Acquia ライブラリーも含まれています(このライブラリーは Drupal を使用するコツ、裏技、操作説明を広く集めたコレクションで、Drupal 開発者およびサイト所有者のためのリソースでもあります)。まもなく、Acquia Network を通じて簡単にアクセスできるサードパーティーのサービスがさらに増えていく予定です。これらのサービスの多くは追加料金なしで利用できます。スパム フィルタリングの Mollom、アプリケーション プロファイリングの New Relic など、わたしたちはすでにサードパーティーのサービスを数多く提供しています。しかし、Acquia Network は、まもなく「サービス配信プラットフォームservice delivery platformとして、また、その他のサービスのマーケットプレイスとしてオープンします。これから数か月以内にリリースするべく準備が進められているものには、Mobify 社のモバイル デザイン ツール、解析ツール、ビデオ サービス、マーケティング ツールなどがあります。

あなたのサービスを Acquia Network に加えることに興味をお持ちですか?わたしたちは将来、API やインフラストラクチャー(たとえば請求書作成など)を公開する予定です。それによって、他の組織も Acquia Network を通じて自らのクラウド サービスをあらゆる Drupal サイトに提供できるようになるでしょう。

Drupal PaaS の Acquia Hosting を加えましょう


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サイトを常時利用できる状態に保つと同時に、オンデマンドの弾力性、カスタム コード、リリース マネジメント ツール(ステージングおよび製作のワークフロー)を必要とする大規模な Web サイト用には、わたしたちの Drupal- platform-as-a-ServiceDrupal PaaSである Acquia Hosting をお薦めします。

Acquia HostingAcquia Network の拡張部門です。あなたがサイトの規模を広げたり問題を特定して解決したりする場合、Acquia のクライアント アドバイザーたちは、助けが必要なときにいつでもお手伝いできるよう待機しています。わたしたちは Acquia Network を通じて Acquia Hosting 独自の E サービスをいくつも提供しています。そのなかには、バックアップ、データベースのロールバック、ステージング環境、コード管理用のバージョン コントロールなどがあります。

Acquia Hosting には今後、開発者用ツールやセルフサービス ツールがさらに加わっていくものと考えてください。一段と強化されたセキュリティー、そしてコード ワークフローなどを含めた、大規模サイトでは要点となる数々の機能も増えていく予定です。

マイクロサイトの迅速な開発には Drupal Gardens を


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Web サイトはすべて異なります。あなたにとっていちばん大事な Web サイトの規模、機能性、複雑度、あるいは寿命が、あなたの組織の Web サイトすべてに対しても必要なわけではありません。小さめのサイトを迅速に公開したい、それもできれば IT 部門が関与することなしに、という場合はたくさんあります。

正にその場合のために、わたしたちは Drupal Gardens を作りました。Drupal Gardens は、「ポイント アンド クリック」と同じくらいシンプルな操作で Drupal Web サイトを構築できるようにした Drupal-as-a-Service プラットフォームです。Drupal 7 をベースにしてできている Drupal Gardens は、あなたがオープンソースに期待する自由と革新性をもたらしてくれます。Drupal Gardens では、自分の Drupal サイトのインストール、ホスティング、アップグレードの心配をする必要はありません。

Drupal Gardens における、わたしたちのミッションは、サイトを構築するみなさんがデザイン段階からオンライン公開に至るまでの時間を、数日あるいは数週間ではなく、分単位にすることです。これを促進するため、サイト作りをスタートできるテンプレートおよびテーマのライブラリーが用意されています。また、そのライブラリーも絶えず大きくなっています。みなさんの主要な Web 資産(所有サイト)を補完する、より小規模なサイトには最適なプラットフォームになるであろうとわたしたちは信じています。

数百単位ではなく、数十程度の小規模 Web サイトを管理する必要のある組織に対しては、「Enterprise Drupal Gardens(企業向け Drupal Gardens」が作られています。これは、サイト設備、サイト管理、シングル サインオン、マルチサイト ダッシュボード、そして、統一したブランディングを保持するために組織全体で使用できるテンプレートとテーマを提供するものです。

お望みなら、サイトを自らホスティングすることも


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オープンソース ソフトを使う最大の長所の一つは、使い方に制限がないことです。組織によっては、運営しているサイトのいくつかを自らホスティングしたいという場合があります。あなたのサイトがどこにホスティングされていようと、Acquia Network はそのサイトに「プラグイン」して入ることができます。

「Open SaaS」はロック インなし


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Software-as-a-Service(SaaS)を提供している業者はほとんどすべて、自社専用のモデルを採用しています。このため、顧客は自分のデータを外部に書き出せることはあっても、そのデータの下にあるコードまで書き出すことは通常、認められません。Drupal Gardens のユーザーは、自分の Drupal Gardens サイトを書き出すことができます。コードもテーマもデータもです。そして、そのプラットフォームを離れて、どんな Drupal ホスティング環境にでも移っていけます。これによって、Drupal Gardens はより入りやすくなっています。しかし、わたしたちはユーザーをロックインする(閉じこめてしまう。囲い込む)ことなく、ユーザーが Drupal Gardens の機能範囲を超えて成長していけるようにしています。

わたしたちは、これを「Open SaaS」と呼んでいます。また、「『Software-as-a-Service』をオープンソースの原則に基づいて正しく実行するサービス」と呼ぶこともできるでしょう。特定企業の製品と比べると、これははるかに安全でローコストな選択肢になります。

最後に

このブログ記事では、僕たち(Acquia)の主要な製品とサービスのいくつかをピックアップしてみた。Acquia の展望にフォーカスを合わせた、より詳細な白書も(今後)紹介する予定だ。乞うご期待。

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