Acquia は Drupal の有能な人材をみんな吸い上げてしまうのか?

2011 年 9 月 9 日 - 20:42 -- ドリース バイテルト

Acquia が、始動して以来、著しい成長を遂げたこと。Acquia に採用された重要なコントリビューターの数。そこから来る、Acquia が(Drupal)プロジェクトに与え得る影響。これらについて(Drupal)コミュニティーから懸念の声が多数、聞こえてきている。

こうした懸念のなかには当を得たものもあるが、割合としてはかなり FUD(“fear, uncertainty and doubt”の略。「怖れ、不確かさ、不信」)も広まっていると思う。そこで、いくつかのポイントをはっきりさせてみようと思う。

成長という点でいえば、Acquia には現在、約 150 人の従業員がいる。ただ、そのうち、直接 Drupal にかかわる仕事をしているのは半分にも満たない。Acquian(Acquia 社員)の大半は販売(営業)、マーケティング、ホスティング業務、財務、HR(ヒューマン リソース。人材)などの部門で働いている。これはある意味、Drupal に携わる人員という点で Acquia は Phase2、Node One、Forum One、Propeople、Capgemini をはじめとする数十の他社よりも小さいことになる。僕たちは他のほとんどの Drupal ショップ(Drupal 業者)とは混合比率が違うということだ。

影響という点でいえば、Acquia が雇用しているのは Drupal コアのコントリビューターの1割にも満たない。ただ、「ドゥルーパリスト1人あたり」で見れば、Acquia はおそらく他のどんな組織よりもはるかに多くのコードと桁(けた)違いに多くの金を Drupal コミュニティーに与えて貢献しているだろう。僕たちは主要な教習イニシアチブを通じた Drupal コミュニティーの拡大に投資している。Acquia はどこよりも多く、Drupal に入門する人々が集まる DrupalCamp のスポンサーをしている。僕たちはおそらく、僕たちを除いたコミュニティー全体よりも多く研修生や実習生を(資金的に)支援している。それは高校生や大学生が Drupal でキャリアを築く方法を身につける場だ。(それ以外に)僕たちが大量のコードも提供しているのは言うまでもない。

こうしたことは Drupal にとってすばらしいことであり、そうしなかったとしたら僕たちみんなにとって大きな損失であろう、と僕は信じたい。

コミュニティーに投資するのにベンチャーキャピタルの資金があればもちろん助かるが、その資金も魔法ではない(資金があれば必ず成功するというわけではない)。それに、ただでもらった金ではないのだ。僕は自分が保有する Acquia 株の一部を明示的に(はっきりとした意図をもって)手放し、現金化することを選んだ。そうすれば、その資金を Drupal コミュニティーへと戻す形で投資し、Drupal の前進に役立てることができるからだ。

Acquia と Drupal それぞれの好不調は密接に結びついているわけだから、僕の Acquia とのかかわり合いは微妙なものであることはわかる。ただ、僕は Acquia の意思決定プロセスを進めるのに一役買っているわけで、その方向を定める際にいつでも念頭にあるのは、それが Drupal のためになるかどうかということだ。Drupal を成功させること、Drupal が好調であることは僕にとって第一の関心事であり、自分がどんな「帽子」をかぶっているか(Acquia の経営者か、Drupal のプロジェクト リーダーか、など)は関係ない。規模の大小を問わず、僕たちは Drupal にひとつでも多くのサイトにパワーを与えてほしいと思っている。そして、成長しているエコシステムの中で多くの Drupal 起業家に成功してほしいと思っている。Acquia の活動を見れば、この点で膨大な貢献をしていることがわかるだろう。僕たちは DrupalCamp と DrupalCon のスポンサーとなり、従業員に賃金を払って Drupal のモジュールやテーマを向上させているのだ。

最近、僕たちが Cyrve と GVS を買収したことが議論の的になっている。僕は、買収というものは双方向の道路だということを指摘したい。つまり、両サイドの当事者にとって本当にエキサイティングなものでなかったら買収など起こらないということだ。(これに対して)コントリビューターたちはさまざまな理由で Acquia にやってくる。(たとえば)どちらかというと、ビジネス開発、セールス、サポートといったもの(技術やノウハウなど)を、自分より専門にしている人に渡しにくるようなことがある。渡した本人はそのあと自分が本当に楽しめる事柄に集中していられるようにだ。別の人たちは、一人で(独立して)コツコツと働くよりも、興味深い事柄に取り組んでいる頭脳明晰(ずのうめいせき)な人々が集まった大きめのチームに入ることでより大きく成長する(ので、それを求めてやってくる)。さらに別の人たちは、 Drupal の向上を後押しするため、継続的な期間にわたって膨大な量のプライベートな時間をつぎ込んだ。それも個人的に大きな犠牲を払っていることが多い。彼らはその取り組みを(自分にとって)もっと持続しやすい(共同の)「プロジェクト」にできないものかと調整手段を探している。こうしたコントリビューターたちを「悪者(わるもの)」呼ばわりしたり、彼らが大好きな職業上のコースを進んでいけるようにする会社を悪者呼ばわりしたりするのは、僕たちのコミュニティーにとっても、その本人にとっても、健康的なことではない。

影響力についての懸念に対する明確な解決方法は、僕たちのコミュニティー、それも特にコントリビューターのコミュニティーを成長させることだ。もっと多くの人々、もっと多くの Drupal ショップがより大きな形で貢献すればいい。そうすれば、Acquia にしろ何にしろ、どんな組織でも、全体的なプロジェクトに対して行使する影響力が大きくなりすぎるリスクが軽減されるからだ。

そういうわけで、僕たちは1つのコミュニティーとして、この問いを組み直す必要がある。僕たち自身が王様である必要があるのだ:(1) コミュニティーを成長させるには、僕たちに何ができるだろうか?(2) Drupal に依存している(Drupal で生計を立てている)人たちのうち、Drupal に貢献する人が増えないのはなぜか?(3) Drupal 業者たちが(コミュニティーに)お返しとして貢献するのを促進するには、どうしたらいいか?

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