DrupalCon:Drupal リーダー、Drupal 8 について語る
執筆者:カルステン ヴィオルカ(Karsten Violka)
背景情報(投稿日時):2012 年 8 月 23 日 7 時 41 分
8 月 20 日から 24 日までミュンヒェンで開かれているカンファレンス「DrupalCon」にはオープンソースの CMS、Drupal の開発者およびユーザー約 1,800 名が集まっている。我々は Drupal 8 とコミュニティーについて Drupal のトップであるドリース バイテルト氏と対談した。
熱い議論が繰り広げられているのは次期メジャー リリースである Drupal 8 の機能群についてだ。コミュニティーは Drupal 8 を来年中に完成させようとしている(本稿執筆時の完成目標は 2013 年 9 月ごろ)。カンファレンスにおける他の主なテーマは、オープン データ、そしてシステムの境界を越えてアプリケーション同士を結び付けることができるオープンなインターフェースだ。
我々は Drupal 8 と Drupal コミュニティーの将来には何があるのかを Drupal のトップであるドリース バイテルト氏に伺う機会を得た。
heise open:バイテルトさん、Drupal とは何なのか、簡潔にわたしたちの読者に説明していただけますか?
バイテルト:いちばん簡単な説明はこうです。Drupal とは Web サイトを作るために使用するソフトウェアです。この点で Drupal にはいくつかの特徴があります。まず、Drupal はオープンソースです。そして、エンドユーザーにとってのツールであると同時に PHP 開発者にとってのフレームワークでもあります。
エンドユーザーは Drupal をダウンロードし、サーバーにインストールして Web サイトを作ります。開発者は簡単に機能を拡張できます。三番目の特徴は、Drupal とは非常に熱狂的なコミュニティーでもあるということです。それはソフトウェア開発者、ユーザー、そしてプロジェクトをサポートする他の人々からなるコミュニティーです。
今日、Drupal はかなり大きくなりました。Web サイトが 50 あれば、そのうちの 1 つはわたしたちの技術で動いています。世界中で何千人もの開発者たちがコードを貢献しており、約 15,000 のモジュールがあります。わたしたちはいくつもの大きなイベントの組織(企画実行)も行っています。今日のこの催し(ミュンヒェンでの DrupalCon)では 1,800 枚のチケットを完売しました。これはドイツでのテクノロジー カンファレンスとしてはかなり大きい方でしょう。
heise open:DrupalCon は今回、初めてドイツで開かれました。あなたから見てドイツの CMS 市場で特別(特徴的)なことは何ですか?ヨーロッパ人として、また米国在住の人間としてのあなたの観点はどんなものでしょうか?
バイテルト: おかしなもので、オープンソース プロジェクトの多くはヨーロッパで誕生したのにまず米国で商業化されています。Linux もそれに該当すると思います。Drupal はわたしがベルギーでスタートさせたのですが、最初の Drupal 企業群は米国で設立されました。ヨーロッパは今それに追いつこうとしているところです。ただ、こちらではリスク傾向(積極的にリスクを取る意欲)がそれほど顕著ではありません。
米国では 2004 年に「Drupal のサービスだけを提供する企業を作ろう」という人々がいました。同じことがヨーロッパでも起こるまでには数年かかりました。ヨーロッパは商業的な利用に関しては遅れていましたが、市場の成長は速く、今日ではおそらく米国と同じくらいの大きさではないかと思います。
普通なら、イギリス、ベネルクス三国 (ベルギー、オランダ、ルクセンブルク) 、ドイツがヨーロッパではいちばん大きな市場だと思うでしょう。しかし、ドイツでは Typo3 がとても強く、Drupal の人気はやや劣ります。ですから、わたしたちがここにいるのはエキサイティングなことです。DrupalCon のため、ミュンヒェンには Drupal を使って仕事をしているヨーロッパ人とドイツ人がたくさん集まってきています。それによってドイツのいろいろなことに少しでも勢いがつくことを期待しています。