(前のページから)そうしたシステムは今日、大きな予算枠のある組織が構築しています。彼らが目指すのは、訪問者たちをトランザクション(取り引き)へと誘導することです。それはオンラインショップで商品を購入することであったり、ニュースレター(メルマガ)に登録することであったりします。この動向はより小さなページにも適用されていくことでしょう。この統合は Web サービスを通じて行われますが、その Web サービスもわたしたちが Drupal 8 で実現しようとしているもうひとつの大きなテーマです。

以前は IT 部門が Web サイトを構築していましたが、今日ではマーケティング部門が担当していることがよくあります。また、コンテンツの執筆者たちもずっと深くかかわるようになってきています。わたしたちは引き続き IT 担当者たちを納得させなくてはなりませんが、非 IT 系の人たちにウンと言わせなくてはならないことも増えてきています。

iPhone とクラウドによってアプリケーション(アプリ)がとても簡単に利用できるようになりました。以前なら、企業のアプリケーションは見た目が悪かろうが野暮(やぼ)ったかろうが誰も気にしませんでした。今日ではさまざまな人々がわたしたちのテクノロジーを使用しています。彼らは、プログラムとは当然、自分の iPhone と同じように美しいものであり、同じようにかっこよく操作できるものだと考えています。

heise open:Drupal 8 ではどんな新しいことが期待できるでしょうか?

バイテルト: モバイル デバイスというテーマについてはここまでに触れたとおりです。よく眺めてみると、モバイル Web サイトとネイティブのアプリは全く違う別々のものです。Drupal 8 はレスポンシブ レイアウトを実現する HTML5 テンプレートと一緒にリリースされる予定です(原文注:レスポンシブ レイアウトとは、CSS Mediaquery を利用することによって Web サイトのレイアウトを自動的にデバイスの画面サイズに合わせる仕組み)。

ネイティブのアプリを作成し、Drupal にデータを取り込んだり、また引き出したりするには Web サービスが必要です。これは開発者たちにとって興味深いことですが、新しいコアはフレームワーク「Symfony」の上に構築されます。これによって Drupal のコードはぐっとモダンになります。

さらに、わたしたちは Drupal におけるページのインターナショナライゼーション(多言語化)機能の改善に取り組んでいます。他のほとんどの CMS と比べると Drupal はこの点が(すでに)かなり強力なんですが、これはたくさんの微妙な差異を含んでいる非常に複雑なテーマです。わたしたちはこの点でもさらに向上しようとしています。もうひとつのテーマは設定(コンフィギュレーション)マネージメントです。これは Web サイトの引き渡し(納品)と更新を簡素化しようとするものです。Drupal 8 では構成の設定をエクスポートする(書き出す)こと、そしてたとえばライブ(稼働中)のサーバーに引き渡すことが容易になるでしょう。

Akamai 社 ESI の解説ページ
参考リンク 4: Akamai 社 ESI の解説ページ

今日でもすでにいくつもの非常に大きな Web サイトが Drupal 上で動いています。月に何百万ものページ リクエストを処理しているところもあります。さらに次の段階の大規模な Web サイトを構築するため、Drupal 8 では Edge Side Includes(ESI)をサポートする予定です。それに向けてわたしたちはページを組み立てるモジュールをそっくり作り直しているところです。これによって、パーソナライズされたページも部分的にキャッシュできるようになる見込みです。結果としてページをずっと速く供給できるようになるでしょう。Facebook などもそういう形で動作しています(参考リンク 5:オラクル社「Edge Side Includes 概要」PDF