heise open:あなたはこのオープンソース プロジェクトを立ち上げた人物であると同時に Drupal で商業的な目標を目指す Acquia 社のトップでもあります。それは利害が対立することにならないでしょうか?

バイテルト: Acquia が唯一の Drupal 企業だというわけではありません。ただ、弊社はいちばん大きいので特別な役割を担っています。わたしは Drupal と Acquia を創始したわけですが、それは意味を成すことだと考えています。

わたしは 7 年半にわたって Drupal を趣味のプロジェクトとして開発しました。本来の仕事をしている時間の傍らでプライベートの時間と週末を使ってです。大学の(博士)課程を修了したとき、勉強は楽しかったけれども、学者になるつもりはありませんでした。会社を設立するという発想に夢中になっていました。

その際、わたしは自分の Drupal 仲間たちと競争するようなことはせず、単にひとつの新しいコンサルティング会社としてやっていこうと思っていました。しかし、実際にはそういうことにはならず、Acquia はパートナーシップに注力しています。わたしたちには 400 を超えるパートナー企業があります。それは利害が対立することにならないのかとみんなに聞かれます。でも、想像してみてください。Acquia を設立しなかったとしたら、わたしは今日でもまだ趣味として Drupal に取り組んでいたかもしれません。わたしが Drupal のためにたくさんのことをして旅行もできたのは会社のおかげです。

わたしの仕事で重要な部分は(将来の)見通しを的確にとらえ、それをひとつの(具体的な)展望に置き換えることです。Acquia のおかげでわたしは大勢の人々と話すことができました。それはたとえばインドの開発者たちであったり、ホワイトハウスやニューヨーク証券取引所といった世界でも最大級の Drupal ユーザーたちであったりします。そうやって集めることができたすべての情報を、自分たちのプロジェクトにとっての展望に置き換えるのです。そのためにわたしはベストを尽くしています。

heise open:最大級のオープンソース プロジェクトを率いるというのはどんな感じですか?

バイテルト: わたしは自分のやっていることが大好きです。でも、世間の注目を浴びることが自分の性に合っているとは思いません。わたしは基本的に「誤って」プロジェクト リーダーになったんです。必ずしもそう予定されていたわけではありません。ですから「さあ、これから何が起こるんだろう?あれ、僕はこのプロジェクトを率いているぞ」というくらいに考えていました。こんなにたくさんの人たちと働き、毎日こんなにたくさんの情熱に囲まれて過ごすというのは、すばらしいことです。それでも、ときには、リーダーの役割が自分にはあまり気持ちのいいものではないこともあります。