Acquia:2011 年の回顧(後半)

2012 年 1 月 5 日 - 20:59 -- ドリース バイテルト

(この記事は長いので前半と後半に分けました。)

コミュニティーと Acquia

僕たちは行うことすべてにおいて Drupal コミュニティー全体の機運を高めるようにしている。Acquia はより広い意味での Drupal コミュニティーに対して「お返し」となる貢献を長いこと続けているが、2011 年にもそれは続いた。

エンジニアリングにかける時間のおよそ 30 % は Drupal コミュニティーに還元され、その結果として数々の改良が施された。その改良とは、コアのバグ修正、拡張モジュールの Drupal 7 への移植(移行)、それから、Date、Media、Views などのモジュールにおけるユーザビリティーの向上などだ。ミネソタ大学のユーザビリティー テスティングに参加した。また、それ以外にも Drupal と Drupal Gardens に対して 20 回を超える社内のユーザビリティー テストを行い、その結果をコミュニティーに供給した。

Acquia は多くのスプリント(プロジェクトのテーマを決めてグループで開発を行う数日程度の催し)に参加したし、自ら主催したスプリントもいくつもあった。たとえば Drupal 7 Media SprintDrush Code SprintMultilingual Drupal Code Sprint などだ。

合計すると、2011 年の最後の3カ月だけでも Acquia は 58 を超えるコミュニティー イベントのスポンサーをした。また、世界の各地で開かれたそれらのイベントの成功に自ら現場で貢献できるよう、数十人の Acquia 社員(Acquians)の旅費と滞在費を負担した。そうしたイベントのいくつかは僕たちが自ら主導し、企画運営までもした。

僕たちのマーケティング チームがセールスとマーケティングを行うことで Drupal Association は多大な見返りを受けた(クリエイティブ コモンズ ライセンス ベース(の Drupal は商業利用可能)であるため)。それはコミュニティー内のほかの人々が Drupal を広め、成長させるのを促進することにもなる。

上記のほか、苦闘したこともあった…

当然のことながら、Acquia は Drupal をできるかぎり最高のものにするうえで力添えになれたらと思っている。そして、自分たちが Drupal プロジェクトに対する主要な貢献を果たしていることを僕たちは誇りに思っている。たとえば、Drupal にはマーケティングが欠けているという懸念から、僕たちは Drupal Showcase サイトを立ち上げた。これは Drupal を売り込むことをコミュニティーが促進できるようにするためのリソースとなるサイトだ。また、Drupal の普及と成長は何よりも大事なことだから、Acquia リーダーシップ チーム全体の支持を得たうえで、Drupal 7 の開発期間中に規模の大きなユーザビリティー イニシアチブに資金を投じることを決めた。

しかし、こうしたコミュニティーに対する投資の決定のいくつかはコミュニティー内で反発や批判を引き起こし、僕たちにとっては裏目に出た形になった。それは、Drupal Showcase の場合(acquia.com のサブドメインからよそへ移して帰属先(Acquia の社名)の表示欄を設ける)のようにたやすく修正できるものであるときもあった。また、Drupal 7 のユーザビリティーの場合のように Acquia の影響力に対する疑問や懸念からくるものであるときもあった。

Acquia は「お返しすることもできる」立場にいるというだけではない。僕たちは「お返ししたい」と思っている。さらに、僕たちは Drupal が引き続き成長、成功していくには(Acquia 以外も含めた)企業からのスポンサーシップ(財政的な後援)が大事だと感じている。しかし、Drupal に対するこういうまとまった投資が裏目に出ると、この種の大規模な投資を続けていこうと思っても、それは確実に一時停止することになってしまう。それでもやっぱり、僕は是非、Drupal にもっと多くの変化、もっと大きな変化を与える貢献をしたい。特に Drupal コアに対して、建設的かつ健全な形でだ。「Acquia として」の僕たちは、うまくバランスがとれるよう、コミュニティーとの作業の進め方を引き続き向上させていくつもりでいる。「ひとつのコミュニティーとして」の僕たちは、企業のスポンサーシップをもっとうまく受け入れる方法を考え出す必要がある。これらは、この新しい年にみんなでブレーンストーミングをするテーマだ。

もう少し個人的な話…

Acquia と Drupal コミュニティーが成長するにつれて僕に対する時間的な需要も増えた。Acquia は驚くべき速度で成長している。僕たちは複数のプロダクト ラインのある製品ポートフォリオを作っている。Drupal Association は大幅な変革を経験しようとしている。Drupal 8 の開発も進行中だ。Drupal 7 の普及活動のために世界中を旅行してもいるし、そのほかにもまだまだある。これらの需要に応えるにはもっと時間を作る必要があった。そのため、僕は Acquia に「CTO オフィスOffice of the CTO または OCTO」を設置した(CTO は Chief Technology Officer の略。最高技術責任者、技術担当役員)

OCTO のメンバーにはすばらしい人材を何人も雇うことができた。毎日一緒に仕事をする「ドリーム チーム」のようだ。僕たちは一緒になって次のようなテーマにみっちり集中してきた:Drupal の発展の促進(drupal.org 上でディストリビューションの配布を可能にすること、貢献(コントリビューション)プロセスの簡素化)、Drupal 8(イニシアチブの始動)、Acquia(GVS と Cyrve の買収進行、Drupal とモバイルに関する推奨(recommendations。環境やモジュールなど?)の作成、新規プロダクトのアイデア探し、世界最大規模の Drupal ユーザー(企業)数社との共同作業)。

これは僕にとって間違いなくひとつのハイライトだった。というのも、僕のやっていることのうち、こうした重要な側面がずっと速く進められるようになったからだ。僕たちは 2012 年には人員をもっと増やして OCTO を拡大できたらと思っている。

まとめとしては…

全般的に、僕は Acquia の 2012 年の見通しについてはとても楽観的だ。会社が誕生してまだ間もないころに僕たちが決めた事柄は懐疑のまなざしを向けられることがあった。しかし、それらの決定は正しかったことが証明された。企業は商業レベルのサポートとクラウド コンピューティングを求める。オープンソース、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、そしてサービスとしてのプラットフォーム(PaaS)は上昇し続ける。僕はこれまでにないほど強く確信している。Web アプリケーションの作成とホスティングにとって、特にオープンソースの Web アプリケーションと組み合わせることによって、PaaS と SaaS は事実上の標準になるだろうと。問題は、それが起こるかどうかではなく、いつ起こるか、どのくらい速く起こるかということだ。それが起こるとき、Acquia はすばらしい状況にあることだろう。

目標とロードマップに関して僕たちは常に(包み隠さず)高い透明性を保ってきた(Acquia 2009 roadmapAcquia の製品戦略と展望)。だから、僕は来月か再来月にでも、2012 年およびその先にまで目を向けた Acquia の目標についての情報をもっと紹介するつもりだ。

もちろん、この成功は、カスタマーやパートナーのみなさん、Drupal コミュニティー、そして多くの友人たちのサポートなしには決してあり得ないだろう。インド、ブラジル、オーストラリア、フランスなど多数の地域を僕が訪れる際にその企画実行を助けてくれたすべてのみなさんに特別な感謝の意を表したい。2011 年のみんなのサポート、ありがとう。そして、みんなと一緒に作業を進め、2012 年が何をもたらしてくれるのか見いだすのを楽しみにしている!

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