Views は最も広く使用されている貢献（拡張）モジュールのナンバーワンだ。このモジュールはすべての Drupal サイトのうち 70% 近くにインストールされている。非開発者（ノン プログラマー）でも Web インターフェースを通してページ、ブロック、カレンダー、フォト ギャラリーなどのためにリスティングを作成できる能力。それに加え、キャッシングなど、開発者にやさしい特徴も完備している。これは Drupal を輝かせている主要な差別化要因（他の CMS に差をつける要素）のひとつだ。
Views は卓越した貢献モジュールとしてやってきたわけだが、今回 Views を Drupal コアに取り込むのは、はっきりとした戦略的な決定だ。コア内に Views があることによって次のような多数の利点が生じることになる。
- 首尾一貫性：コア モジュール群では現在、根本的に異なっているいくつもの従来型ソリューションがデータ リスティングに使われている。これらのリスティング機能を Views に置き換えれば、Drupal のデベロッパー エクスペリエンスが改善される（より快適に効率よく開発できるようになる）。同時に、サイト ビルダーが自分たちのサイトをカスタマイズしやすくもなる。
- 習得性（Learnability）：Drupal を初めて使う人たちは貢献（拡張）モジュールを使ってどんなことができるのかわからないことがよくある。Views がコアに入っていれば、新しいサイト ビルダーたちは Drupal に標準で備わっている能力をより速く理解できることになるだろう。
- リリース サイクル：これまでコミュニティーにとっては Drupal の「リリース準備が整った」と判断するひとつの目安は Views が安定しているかどうかという点にあった。Drupal 7 の場合、Drupal 7 用に開発バージョンの Views が利用できるようになって初めて（Drupal 7 自体の）使用数が増え始めた。また、（Drupal 7 用の）Views が安定したところで初めて（Drupal 7 が）Drupal 6 の使用数を上回った。
- コントリビューター エクスペリエンス：何百という数の貢献モジュールが Views API に依存している。そのため、これらのモジュールは（Drupal のメジャー）リリースのたびに Views のせいで足止めを食らっている。
- 安定性：Views がコア内にあれば、Views にリグレッションを引き起こす変更はコアをリリースする障害になる。そして、Views のバグはコアのバグとして扱われる。
この５月、コミュニティー有志からなる Views in Drupal Core（VDC）イニシアチブの設立が発表された。そのチームはそれから現在までに、前もって必要な準備を大忙しで進めてきた。その準備には、CTools プロジェクトに従属しているさまざまな要素（の解消）、そして、貢献モジュールとしての Views を Drupal 8 に移植することなどが含まれている。
僕はこのブログ記事をもって、Views in Core（Views のコア組み込み）を Drupal 8 に向けた公式なイニシアチブにしたいと思う。設定マネージメント、Web サービス、モバイルといった他のイニシアチブに並ぶものとしてだ。これまでのイニシアチブとは違って、Views in Core は１人のイニシアチブ リーダーではなく、ひとつの「イニシアチブ チーム」を設ける形になっている。チームの構成メンバーは次のとおりだ。
- アール マイルス（Earl Miles (merlinofchaos)）-- Views 作者。VDC チーフ アーキテクト
- ダニエル ヴェーナー（Daniel Wehner (dawehner)）-- Views メンテナー。VDC テクニカル リード（リーダー）
- ジェス M. （Jess M. (xjm) ）-- トップ D8 コア開発者。VDC パッチ レビュー & QA。コントリビューション ファシリテーター（貢献活動の調整係）
- ティム プランケット（Tim Plunkett (tim.plunkett) ）-- トップ D8 コア開発者および Views コントリビューター。 シニア VDC 開発者
- ダミアン リー（Damian Lee (damiankloip) ）-- トップ Views コントリビューター。シニア VDC 開発者
これらのメンバーに加え、十数名を超える他の開発者たちも、チームの調整作業やガイダンス（周知活動）を行ううえでイニシアチブに貢献してくれた。
Views in Core イニシアチブに関するさらなる詳細情報は、アールが書いた VDC についてのレポートをチェックされたい。そこには、Views を Drupal 8 に組み込むために必要な作業の詳しいロードマップが掲げられている。みんながどういう風に力を貸せるかという情報もだ。